• 自己脂肪注入法

    • 豊胸手術
    • 自己脂肪注入法
  • 昔から医師たちは、豊胸手術に自己脂肪注入法を利用してきました。
  • しかし、移植された脂肪の一部分が壊死し、吸収される過程で小さなしこりが感じられたり、レントゲン撮影による検査結果、微細な石灰化も確認されました。このように、豊胸手術のための自己脂肪注入が乳ガン検診に支障を与えることもあることから、1987年にアメリカの整形外科医師協会は、自己脂肪注入による豊胸手術に否定的な意見を表明しました。このようなことから、最近まで自己脂肪注入法は整形外科ではタブー視されてきました。
    しかし、自己脂肪注入法の発達で脂肪の壊死が減り、診断放射線科の医師の判読技術の発達によって脂肪壊死による石灰化と乳ガンが原因で発生する石灰化の区別ができるようになり、自己脂肪注入法が再び脚光を浴びるようになりました。
自己脂肪注入法による豊胸術の長・短所
    • 長所
      • • 自分の腹部、太股、臀部などの脂肪を吸入して乳房に注入するため、脂肪を吸入した部分にダイエット効果が得られる。
      • • ソフトで自然な手触り。
      • • インプラントによる合併症がない。(カプセル拘縮、インプラントの破損、磨耗、手触りなど)
    • 短所
      • •一回に注入できる脂肪の量に限界がある。
      • • 脂肪の一部が吸収されることもあるため、追加施術が必要になる場合もある。
      • • 十分に隆起した形が作りにくい。
      • • 注入した脂肪の壊死により、小さなしこりが感じられたり、レントゲン検査時に石灰化が観察される可能性があり、乳ガンとの区別が必要。(場合によってはMRIや組織検査などが必要になる)

自己脂肪注入法の対象と不適合者
  • 自己脂肪注入による豊胸術の対象
    • - 乳房のサイズを100~150cc程度大きくしたい方
    • - 乳房組織がある程度確保され、皮膚に突っ張りがない方
    • - 元々のサイズが小さい方ではなく、加齢と共に胸の上部のボリュームが失われて下垂して見える方 また、無理なダイエットなどで胸が貧弱に見える方
  • 自己脂肪注入による豊胸術の不適合者
    • - 乳房組織がほとんど無い方
    • - 乳房のサイズを大きくしたい方(200cc以上)
    • - 脂肪を採取する部位の脂肪が十分ではない方(総脂肪量が最低500~600cc以上)
脂肪幹細胞注入法による豊胸手術
  • 最近、一般の脂肪組織に多量の成体幹細胞が含まれていることが判明されたことから、注入する脂肪細胞に脂肪組織から採取した成体幹細胞を混ぜて乳房に注入し、成体幹細胞が移植された脂肪細胞の間で脂肪細胞として分化され、新しい血管の生成をを誘導することで、一回に注入する脂肪細胞の量と定着率を向上させる試み行われています。
  • また、血小板を多く含む血漿を注入する脂肪に混ぜておくことで、注入される脂肪の生着率を上げる試みがなされています。このような血漿の中に凝縮された血小板の中には様々な成長促進因子が含まれており、注入された脂肪細胞の間で脂肪細胞に分化したり、コラーゲンなどを生成する細胞を呼び込んで新しい血管生成を促進することで、注入された脂肪の生着率を上げる役割を果たします。
  • 脂肪組織由来の幹細胞(ASC, ADSC; Adipose-Derived Stem Cell)
  • 幹細胞(stem cell)とは、無限の自己増殖(self-renew)機能を持ちながら、場合によっては他の機能を持つ細胞に分化(differentiation)する機能を持つ細胞であり、胚芽幹細胞と成体幹細胞に分類されます。
  • - 胚芽幹細胞とは、生命の出発点となる胚芽の発生過程において抽出した細胞であり、あらゆる組織の細胞に分化できる能力を持ちますが、まだ分化されてない細胞として、強力な増殖と分化能力を持つため、調節しにくいという短所があります。また、腫瘍が生じる可能性など、安全面にも問題があるため、法律的、倫理的な問題も相まって、使用が困難であるとされています。
  • - 成体幹細胞とは、骨髄、末梢血、臍帯血、皮膚、脂肪など、出生後に体の様々な組織に存在しながら分化が行われないまま維持され、必要に応じて周辺組織の特性に合わせて分化する能力を持つ細胞です。特定の組織に分化される傾向があり、医学的には扱いやすいため、近年注目を集めています。
  • 骨髄から採取した成体幹細胞は、既に臨床的に血液ガンの治療に利用されるなど、多くの部分が明らかになっていますが、採取できる量が少なく、施術に苦痛が伴う上に、高価な施設が必要となるという短所があります。
  • しかし、最近の研究で、脂肪組織の中にも幹細胞の特性を持つ細胞が存在することが判明し、学界を騒然とさせました。脂肪組織からの幹細胞の抽出は、比較的簡単な過程を通して安価に実施できるため、一度に多量の細胞を採取することが可能です。このような脂肪由来の幹細胞は、脂肪注入の際に脂肪細胞の生着を助けることが判明しています。
    現在もなお、バストにボリューム感を出す美容目的で脂肪注入術が施術されていますが、近い将来、様々な疾病の細胞治療を目的として脂肪注入が適用されるようになると予想されます。
  • 血小板が豊富な血漿(PRP; Platelet Rich Plasma)
  • 血液を採取して遠心分離機にかけて分離させると、血球と血漿に分かれます。この際、分離した血漿の下に沈殿する血小板が豊富に含まれた血漿部分を、血小板が豊富な血漿と呼びます。
    血小板内には様々な成長因子(PDGF, TGF, EGF, IGF, etc.)が含まれており、血小板が活性化することによって外に排出され、傷の治療と再生を助け、新生血管の誘導とコラーゲン生成を促進させて皮膚老化を予防する役割の他にも、多くの役割を果たしています。
    自らの血液から抽出するため、エイズやB型・C型肝炎のようなウィルス性疾患への感染リスクがなく、経済的ですぐに使用でき、フィラーのように直接注入することもできるため、レーザー、脂肪注入、幹細胞を含んた脂肪注入など、その他の施術と同時に適用できるという長所があります。